携帯灰皿を真ん中に挟んだ形で、俺とモッサは適当に腰を下ろして煙草に火をつけた。
俺も1本も吸わずに来たから、正直なところ吸いたかった。
・・・・そんなこと、モッサの前では絶対に言わないが。
「登坂さん、マイルドセブンなんですね。俺もです」
「あぁ、そう」
「何ミリですか?」
「8ミリ」
「へぇ〜」
なんなんだよ、モッサまで。
気まずい空気のままだ、話題を作りたい気持ちは分かる。
でも、どうしてモッサに教えないとならないんだ。梅村綾がいない間だけでも静かにしてほしい。
「そういえば、あのジッポライターはどうしたんですか? 壊れちゃいました?」
そんな俺の気持ちなんて知る由もないモッサは、今度は俺の100円ライターを見て聞いた。
俺は、もう話題になるものを探させないようにそれをポケットに突っ込みながら言う。
「捨てた」
「えっ!? そうなんですか!? もったいないな、渋くてかっこいいと思ってたのに」
「もういらないし」
「そ、そうですか」
「そうだ」


