完璧なまでに言い当てられて真っ赤になるあたしに小百合が言う。
「何度でも来られるよ。私ね、登坂さんとだったら未来はうまくいくと思うんだ」
「・・・・」
小百合が履いているヒールの音がコツコツと道路に響く。
昼間とは違って涼しい風が吹く夜道では、その音に混じって夏の虫も優しく鳴いている。
「引っ越すときに“未来を大事にしてくれる人が必ずいる”って言ったでしょ? それ、登坂さんなんじゃないかな?」
「そう・・・・かな」
「うん。そう思う」
「ありがとう、小百合・・・・」
そう言って笑うと、あたしは水着の入った袋を抱きしめた。
登坂さんと話したこと、過ごした時間、小百合が言ったあたしを見る優しい眼差しも・・・・今日の全部をギュッと、ギュッと。
「楽しみだね、その水着を着て海に行くの。その前に私は帰っちゃうけど、いい報告を期待してるから。楽しんでおいで!」
大事に大事に水着を抱きしめるあたしに気づいた小百合が、ポンと背中を押す。
「うん。楽しい夏休みだもんね」
「ね♪」


