そうやって1時間ばかり店内を歩き回って、長澤はやっと水着を買うことができた。
友だちには悪いが、俺と一緒に選んだほうが正解だったな・・・・と、また蛍光色のビキニを思い出してそう思った。
「無理につき合わせてしまってすみませんでした。登坂さんは買わなくていいんですか?」
店を出たところで長澤が聞く。
「いや。俺はいい」
「そうですか。あ、でも、おかげで水着もちゃんと用意できましたし、あとは海に行くだけですね」
「そうだな」
言葉の調子から長澤も海を楽しみにしているらしいことが伺えて、俺の心もなんだか弾む。
本当は2人きりで行きたいところだが、贅沢は言っていられない。
一緒に選んだ水着を着る・・・・それでよしとしよう。
「登坂さん、このあとの予定は何かありますか? つき合わせたお礼をしたいんですけど・・・・」
そう、バックに財布をしまいながら長澤が聞く。
今日の長澤は、俺からしてみればいつになく積極的だった。
休みのせいか夏のせいか・・・・仕事のときと違って開放的に見える。


