俺のココ、あいてるけど。

 
それが俺の素直な感想だった。

こんな昼間から人がごちゃごちゃいるビルの中で、いくらなんでもケンカはしないだろう。

ガキじゃあるまいし。


「・・・・あ」


と思っていると長澤と目が合う。

俺の姿を見るなり、長澤はあたふたして一つの店の中へ隠れる。

そこは・・・・水着の店。


「そういえば、さっき水着がどうこう言ってたな」


ついこの前も、梅村綾に“水着を用意してくださいね”なんて言われていたっけ。

だから長澤は・・・・。





かわいい───・・。





「・・・・こんなところで会うなんで偶然だな、長澤」


迷った挙げ句、いつもよりお洒落をしている長澤を近くで見たい気持ちが勝った俺。

恥ずかしさを飲み込んで、長澤が隠れている店へ入ることにした。


「・・・・は、はいっ!ぐ、偶然ですね、登坂さん・・・・」


急に声をかけられてびっくりした長澤は、さらに水着の中へ埋もれようとする。

その姿にまで“かわいい”と思う俺は、どこまで長澤が好きなのだろう。