「あっ!これいい!」
「派手すぎない?」
「う〜ん、じゃあ、こっちは?」
「・・・・あんまり」
大きなファッションビルの一角、さっきからあたしたちは水着ショップの中をぐるぐる回っていた。
でも、2人の意見がぴったり合う水着はなかなかなくて、今みたいな会話をずっと続けている。
そもそも、小百合とあたしの好みは水着に限らずあまり合わない。
あたしは、そのこともすっかり忘れていたんだよね・・・・。
夏バテでボケちゃったのかな?
「じゃあさ、未来はどんな水着がいいの? このままだったら、閉店になっても買えないよ?」
「う〜ん・・・・」
小百合が、ちょっと怒った顔であたしに迫る。
でもあたしは、元からスパッと物事を決められる性格じゃなくて。
どうしよう・・・・。
この調子じゃ、小百合は本当に怒りだしそうだし、いつまでたっても水着の1着も買えないよ。
「はぁ」
苦し紛れにフロアに目をやると、そこには・・・・えっ!?
登坂さん!?
「・・・・嘘っ!」


