そう。小百合の言った通り。
恵介とは告白されてつき合うことになったけど、そのときあたしは確かに言った。
“こんなあたしを好きになってくれるなんて”って・・・・。
「でも、分かったんだ、あたし。“こんなあたしを・・・・”じゃなくて“これがあたしだ”って胸を張らなきゃ、何もつかめない」
「恋も?」
「うん。まぁ、実際には思っているほどうまくはいっていないんだけどね・・・・」
「そっかぁ。でもまぁ、それでいいじゃん!登坂さんには我慢しないで自分を出せると思ったから好きになったわけでしょ?」
「うん・・・・」
そう言って照れ隠しでマンゴージュースを飲むと、小百合は優しく微笑んでくれた。
あたしは、自分から好きになったという人がいなかった。
初恋も、今思えばあったかどうかも怪しいところで・・・・。
そんな中で、生まれて初めて自分から好きになったのが登坂さん。
登坂さんだけは、ほかの男の人と全然違って見えるんだ。
「そういえば!」
「ん?」
するとまた小百合が声を上げた。


