「おぉ〜!未来、久しぶり♪」

「小百合〜!元気にしてた?」


午前10時着の新幹線、その改札口で待ち合わせをしたあたしたち。

人ごみを掻き分けながら大きなスーツケースをガラガラ引く小百合が、あたしを見つけるなり大きく手を振る。

あたしも負けずに振り返した。


「こっちのほうがちょっとは涼しいかと思ってたけど、どこも変わらないね。はぁ、暑い〜」

「まぁね。夏だから」


大げさに手でうちわの真似をする小百合に、あたしもパタパタと風を送ってあげる。

あたしが3月までいた大学があるところは、ここよりは南だった。

だから小百合は、北上したら少しは涼しいと思っていたみたいで、がっかりの様子。

あたしのせいではないけど、期待を裏切ったみたいでごめんね。


「あ、でも、夜は涼しいから!」

「・・・・そう?」

「うん!虫の声も綺麗だよ〜」

「そう♪」


ここは都会じゃないから、夜は涼しいし虫もよく鳴く。

まぁ、蚊も多いから気をつけなくちゃいけないけど・・・・それはあとで教えればいっか。