◇未来side.*:・゚



「これは・・・・いるでしょ。これは・・・・う〜ん、いらないな」


あたしは4月から始まる新生活に向けて着々と準備を進めていた。


「未来〜、このブルーのマグカップは? どうするの?」

「あ、それは小百合にあげるよ!気に入ったら持って帰って!あたしとお揃いだけどね」


大学でできた親友の小百合が、狭いキッチンのほうからマグカップを持って振っている。

あたしはそれをちらっと見ると、笑顔で小百合に言った。

今は、小百合に手伝ってもらいながら引っ越しの準備の真っ最中。

ああでもない、こうでもないと、厳選しながら持っていくものを決めている。


「あ〜!また恵介君の置き土産なんでしょ〜!あんた一体、何個持ってんのよ?」

「はは・・・・何個でしょう?」

「バカ未来!」

「ごめ〜ん。許して?」


お怒りの様子の小百合と、肩をすぼませて平謝りするあたし。

小百合と過ごした4年間は、だいたいこんな感じの関係だった。

気の置けない大事な親友。

それが小百合。