たぶんそれは、飲み会のあとからだったように思う。

登坂さんは言葉数も少ないし、表情だってそんなに変えない。

それは前とあまり違わないけど、なんというか・・・・人を寄せつけない雰囲気が強くなった。


「おはよう」も「長澤」と名前を呼んでもくれない。

あたしは、カラカラに渇いた砂漠のような気持ちで何週間かを過ごしていた。


その代わり・・・・と言ってはあれだけど、モッサ君とは前の何倍もよく連絡を取り合うようになった。

モッサ君は、あたしが泣いた訳を聞こうとなんてしなかった。

ただ、他愛のないメールや電話であたしを笑わせてくれて、それが本当に嬉しかった。


綾ちゃんも夏休みに入って、今までの夜だけのバイトから昼間も働けるようになって。

そのぶん、顔を合わせる時間も機会も増えていた。


それも重なって、あたしの心は夏空のように晴れることはなくて、作り笑いも多くなった。

そんなあたしを励ましてくれたのがモッサ君。彼の笑い声にたくさんたくさん救われた。

自分だって忙しいのにね。

・・・・ありがとう。