そんな俺の心が読めたのか、表情から読み取ったのか、梅村綾はいつもの調子でニコニコと笑った。

それから、続けてこうも言った。


「あ!そういえば、あと3分で未来さんの誕生日ですね♪ それじゃあ、綾は帰ります!登坂さん、おやすみなさい♪」


まくし立てるように言って、何かサインでも送っているのか、ハザードランプを何度か点滅させて帰っていった。


「はぁ・・・・」


残された俺は空に向かって深くて長いため息を吐いた。

それから・・・・カチッ。

煙草に火をつけ、その煙も同じようにして空に吐いた。


「あと3分・・・・」


部屋の少し手前で降りた俺は、いつもは車で足早に過ぎる道をゆっくり歩いた。

その間も考えるのは長澤のこと。

結局、一言も話さないまま終わってしまった飲み会は、誕生日の前祝いにもなりはしなかった。


「・・・・誕生日おめでとう」


0時ちょうどに長澤の部屋の前に立った俺は、それだけ言うと自分の部屋に入った。

長澤が帰ってきたのは1時頃だった。・・・・モッサに送られて。