「なんで飲み会なんですか?」


ほら見ろ、長澤は絶対にそう聞くんだ、本人にばれないようにと釘を刺しておいたんだが・・・・。

こうなっては仕方がない、ちゃんと言おう。・・・・安藤め。


「今日、山下さんたちに迷惑をかけてしまっただろう? そのおわびと言ってはあれだが、飲み会に誘ったんだ」

「登坂さんが・・・・ですか? でもどうして・・・・」

「部下の失敗は上司がフォローする、それだけだ」

「そんな───・・」

「たまにはそんなこともしてみたいんだ、俺だって。もちろん、長澤も参加してもらうから」


長澤はたぶん“そんなのは申し訳ないので・・・・”と言おうとしたに違いない。

だから俺は、そう言われる前に恥ずかしい気持ちをどうにか押さえ込んでそう誘った。


本当の本当は、ミスをしようがしまいが長澤だけを誘いたかった。

しかしそうなると、どんな誘い文句で誘えばいいのか分からない。


朝は“微妙な距離のままがいいのかも”なんて思ったが、1日も経たずに負けてしまった。

これが今の俺の精一杯だった。