「まぁ、長澤と一緒だったら夏に弾けてみてもいいけどな、俺」
「ぷっ・・・・!何言ってるの、モッサ君。もう酔っ払っちゃった?」
「バカ言え。車飛ばして来たんだぞ、飲めるわけないって」
「あ、そっか。ごめんごめん!」
あたしは、そう言って唐揚げを口いっぱいに頬張った。
モッサ君は新しいマイルドセブンに火をつけて、何口か吸うと灰皿にトンと灰を落とした。
モッサ君が言うことのどこまでが本当なのかは分からない。
だけど、やっぱりあたしは夏だからといって恋人を作ろうとは思えなかった。
そして───・・。
そこでなぜか浮かんできたのは、登坂さんの顔・・・・。
携帯の時刻を見ると、もう9時。
今頃、誰もいなくなったスーパーの事務所で仕事をしている、登坂さんの顔だったんだ。


