「あ〜、登坂さん、未来さんのこと考えてるでしょ〜? 綾、そういうの分かるんだからぁ」
なんてことを思っていると、梅村綾に言い当てられてしまった。
彼女のこういうところも“苦手”と思わせる理由の1つだ。
どう説明したらいいか分からないが・・・・見透かしたような物言い、それが俺には苦手なんだ。
「いいからさっさと戻れ」
「図星だぁ。じゃあ、綾にちょっと笑ってくれたら戻ります♪」
はっ? なんでそうなる?
「・・・・」
「ちょっとでいいんですよぉ、綾にニコッとしてください♪」
もう1つ苦手なところが増えた。
いきなり脈絡もない要求をしてくるところ・・・・梅村綾は、きっと感情で生きているに違いない。
という間に・・・・。
「見て見て、登坂さん!綾の変顔シリ〜ズ♪」
「フッ・・・・」
しまった、笑ってしまった。
「笑った顔もかわいい〜♪ 高校のときにプリクラで鍛えてよかったぁ!じゃあね、登坂さん!」
そう言うと、梅村綾は満足そうに笑って仕事に戻っていった。


