とにかく俺は、煙草とメモを持って長澤のところに行った。

今は夕飯前の比較的混まない時間帯だ、レジ周りの整理や品出しをやっているだろう。

・・・・いた。

牛乳パックを並べている。


「長澤、これ・・・・」


仕事に夢中の長澤の後ろから声をかける。


「あ・・・・登坂さん。その煙草、気づきました?」

「ああ、サンキュ。お礼なんていらないのに律儀だな、長澤」


長澤は、俺が手に持っていた煙草とメモを見ると恥ずかしそうに微笑んだ。

その顔にさえまた焦る俺は・・・・自分でもやっぱり変だと思う。


「そんな・・・・。ほんの気持ちですから。登坂さんが吸っているのと同じだといいんですけど」

「これか? ああ、同じだよ。長澤って小さいところまでよく見てるな。すげーよ」

「そんなこと・・・・初めて煙草を買ったからよく分からなくて。でも同じのでよかったです」


長澤は、今度はほっと安心した顔でニコニコ笑う。


「サンキューな」

「はい!」


・・・・その笑顔に免じて言わないでおこう。