小百合も笑ってくれた。
仕事のことを笑って話すのって、どれくらいぶりだろう。
バイトをしていたときはよく小百合に話していたけど、社員になってからは初めてかもしれない。
『未来さ、登坂さんに何かお礼がしたいって言ってたよね?』
「うん、そうだけど・・・・」
一通り話し終わると、小百合はふと思い立ったようにそう聞いた。
いろいろ助けてもらったのにお礼もしないなんて・・・・と思って、小百合に相談していたんだ。
『登坂さん、煙草吸うんでしょ? “お礼です”って1箱あげたらいいんじゃない?』
「あ!」
『ね?』
「うん!」
確かに・・・・“お礼”と言っても、部下から上司に渡すもの。
形に残るものとか、あまり手の込んだものとか、そういうのはどうなんだろう? と思っていた。
煙草なら嗜好品だし吸っちゃえばなくなるし・・・・さすが小百合!
『何を吸うのか知らないけどさ、それだったらいいよね!』
「うん!マイルドセブンだよ!」
『そう、よかったね』
「ありがとう!」


