放課後、いつも通り真っ直ぐ下駄箱へ向かう。


「零~!待って待って~!」


声の方へ振り返ると、手を振りながら沙耶が駆け寄る。


「もー!零はいっつも帰るの早いよねっ。」


ぷくっと頬を膨らませ、口先を尖らせる沙耶。


「ごめんごめん」


沙耶の頭をポンポンと撫でてみる。


「もーっ!犬じゃないんだからさぁ~」


「あははっ。そうだっけ?」


いつも通りじゃれ合いながら下校する。


沙耶とは小学校、中学校共に一緒で、気付けば高校まで一緒。
しかも同じクラス。


家も近くで、所謂(いわゆる)幼馴染ってやつ。

下校は毎日欠かさず沙耶と一緒。
ただ、登校は別々。

沙耶は昔からよく寝坊する。
それに合わせるのはさすがにキツイ。

あたしは優等生じゃなきゃ駄目だから。