しばらくの間二人は静かな日々を過ごした。
 ある日ユウはりこをチャットに誘った。北九州市と福岡市の間で文字を通じて会話を
楽しめる筈だった。しかし現実には・・・・・・

  奥さん美人?

  もう長いことレスだよ・・・

  じゃあ風俗とか行くの?

  飢えてるように感じる?

  うーん?でもセフレとかいるんじゃなあい?

  ああ、いるよ!

  実はあたしにもそんなのいるんだ!

  オレ以外につきあってるヤツいるのか?

  マコトっていう大学生・・・でもガキだよ

  そいつと寝たのかい?

  ヘタだし早漏だよ

  悔しいな!

  ユウにだってセフレいるじゃない

  それは・・・

  ねえ奥さんと別れてアタシと結婚しようよ

  そんなに簡単なものじゃあない

  アタシやさしいよ・・尽くすよ

  誰にでもそんなだろ・・・


 気まずい雰囲気になりチャットを終わることにした。

 その後二人はあまりメールを交わさない日々を迎えた。

 りこは、その分無料のサイトで様々なメル友と交流した。
 お気に入りの相手は久留米市の浪人生で、彼の弟風のキャラが妙にかわいく感じるのだった。

 様々なオトコ達がりこにメールを送ってきた。しかしユウのメールは思い出したように時々しか来ない。
 ユウはセフレと別れた、あるいは逃げられたらしい・・・
 できることならユウの胸に飛び込みたい・・・そんな思いにりこは時々駆られる。
 だがそのチャンスは訪れないだろう。

 七月産休教諭の仕事が舞い込み夏休み明けには、本来勤めた幼稚園に復帰することが
決まった。ピアノの練習をしなければならない。コンビニのパートを辞めた時、自分がかって引きこもりの惨めな頃から変わったことを実感した。

 だが彼女の胸の内は何故か虚しいものがあった。