「…なんとなく、ね。鹿島君こそ何しに来たの?」


 そんな彼が私に話し掛けてきたことに疑問を持ちながらも、こちらを射る様にじっと見てくる彼に耐え切れなくなった私は、再び空を仰ぎながら少し素っ気なく言ってみた。


「僕は…木下(キノシタ)さんと目が合ったから…」


 自分の名前を呼ばれ、私の事知ってるんだと思った直後、彼の最後の言葉に引っかかった。



 目が合った…?

 もしかしてさっきの男って──…。



パッとグラウンドの隅を見ると、私と目が合った様な気がした男はいなくなっていた。


「さっきグラウンドの隅に座ってたのって鹿島君?」

「…そうだよ」

 やっぱり。

「授業中でしょ?戻らなくていいの?」


 そう言うと彼は頬をポリポリと掻きながら「保健室に行くって言ってきたから…」と。



 意味が分からない。

 それなら早く保健室に行けばいいのに。



 そんな私の考えが分かったのか、彼はすーはーと呼吸をすると一言私に言った。