「鹿島君は何が言いたかったの?」

 私はそんな彼に改めて訊ねてみる。

「…その……良い信頼関係を…」

「良い信頼関係…?」



 はて。
 良い信頼関係って何だろう…………………………あっ。鹿島君が言わんとしている事が判ってしまったかもしれない。


 もしかして──。



「友達になりたい、って事?」


 すると、どうだろう。

 鹿島君は頭が取れるんじゃないだろうかと、こっちが心配するくらいに首をコクコクと縦に振った。

 まるで幼い子供が相手に解ってもらおうと必死に頷いている様で、何とも可愛らしい。


 不覚にもズキュンッときてしまった。


 そんな私のする次の行動といえば決まり切っている訳で──…。





「よろしくね」


 そう言って私はズイッと彼の前に右手を差し出した。


 この時の私の頭の中は、今日の夕飯の事などすっかり抜け落ちていたのだった。