《じゃあユサ今日は、顔合わせだけだからもう帰っていいよ》

キングロスがそう告げると

《そう?じゃ帰りますです、みなさんさようなら》


と少し英語がたどたどしくなりながらも由沙はニッコリと笑った。

すると、今用事を思い出したような顔をしたキングロスが

《あちょっと待って、今日なんか朝から体調悪そうだったけど大丈夫?》


と普段見せないような低い声で聞いてきた。

他の人間は何も言わずだだ由沙達を見ていた。


《少しぐらでけだから大丈夫よ! 心配ありがとう》


そう言って本当に出て行こうとした時、グイと手首を引っ張られ瞬間キングロスが由沙の内手首にキスを落とし一言呟いた。

―――我高位ナイトレスである―――


トンッと背中を押され、ドアが閉まった……確かに。

しかし由沙が振り返った時にはドアすらなくそこは唯の壁になっていた。


手首に残った赤い跡だけがじんじんと熱かった。