ウ゛ァンパアの行動時間は夜……いくら魔界といえども、キングロス等ウ゛ァンパアにとっては昼はやはり昼だった。


《こんな真昼間にわざわざ事を起こさなくても》

……俺は昼は大丈夫と知ったらどうするんだろうなぁ。



喉の奥でククッと笑った。
と、同時に窓ガラス何枚かにヒビが入った。

その感情とは裏腹に、キングロスの由沙を見る目は穏やかだった。



《さてと、まず傷口を塞ごうかな。》

キングロスは由沙の服をすべてとりさった。


―――目を見張った。

血の臭いからして、傷口は相当だと思ったが、これは予想外だ。

由沙の透けるような白い肌に無数の牙のあと、ざっとみて10人は越えている。
しかもそれぞれの傷が深くかなりの量の血が取られたと一目で分かった。

いつも白い由沙の肌は今は死に近い青白い色だった。

部屋のものがすべて音もなく灰になっていた。