由沙はいつもの帰り道を歩いていた。


左手首が熱い―――キングロスに先程キスを落とされたところだった。

キングロスは由沙にとって良い友達だった。

知らない地に初めて来て、オドオドしていた由沙に一番最初に声を掛けたのがキングロスだった。


「今、思い返して見ても不思議よね〜普通初対面の人に‘僕の姫やっと会えた’なんて言って抱きつかないわよね?」

由沙がそんな事をぐるぐると考えていると、前方から来た人にぶつかってしまった。


あ!すいません……と言い終わる前に由沙は真っ暗な世界に閉じ込められた――――