颯爽と消え去った親友の有奈に、見事なまでに放置されて。


とうとう、希望も逃げ道も無くなった私といえば…――




「涼雅様、大変お待たせいたしました」


「あぁ、悪いな」


恭しい一礼をして現れたのは、庶民に無縁な高級車と運転手。



「どうぞ・・・」


後部座席のドアを開けると、そのままジッと待ち構えている。


そんな運転手さんと対峙するのは、お姫様抱っこ継続中の私。



情けない事に、この状態では首に回した手も外せない・・・



その時、ようやくヘンタイが地上へ身を下ろしてくれた。


ただし、残念なのは車の座席という点だ…。



とは言え、ヘンタイの腕の中から脱した事にホッとする。


だけど、たったそれだけのコト。



ヘンタイの手中に納まった状態には、変わりないのに・・・



いま明らかに安堵している私は、絶対にオカシイ…!