怒りたい、殴りたい、ムカつく。


何よりも、逃げ出したい・・・



ソレなのに、このヘンタイに惑わされて。


状況を受け入れているなんて、オカシイ――



何よりも、考えてみれば・・・



バッキンガム宮殿に入る前に、ガッチリ固定されてはいたけど。


対抗策が無かったワケじゃないよね?



ハイヒールで、足を踏みつけるとか。


別の人に、助けを請って叫ぶとかさ。


よくよく考えれば、何かしら出来たハズだ。



だけど何もしなかったし、ヘンタイにも逆らわなかった――



どうして、どうしちゃったのよ私・・・?



もどかしい気持ちが渦を巻く中、自由な両手を振りかざし。


私を下ろさないヘンタイをバシバシと、叩いてやった。



「ッテ――」


不意でいて、無防備な態勢での攻撃に目を細めたヤツ。


それでも収まらない私は、お構いなしで叩き続けた。



声にならない、グルグル蠢く感情と悔しさをぶつけるために…。