その度に飛び出す、ヘンタイの微笑は苛つきを増すの。


怒る私の反応を、ただ楽しんでいるだけだから…。




「会ってすぐのアンタになんか、呼ばれたくないっ!」


自分で言っておきながら、論点がかなりズレてる。


そう気づきながらも、敵視するヤツを必死で睨んだ。



「未月だって言ったのは、オマエだろ?

まぁ…、そんなにイヤなら“巨乳ちゃん”にしようか?」


「っ――」


「ん、どうする?」


ヘンタイが得意気に、低音ボイスを響かせると。


やっぱり私の左耳は、また制御不能になってしまう。



「未月で…、イイ」


妖しさを含むヤツ視線から、必死で逃れるように。


大理石の真っ白な床に視線を落とし、ジッを見つめた。



「おっ、ヤケに素直だな…」


何なの~~~!


このヘンタイには、どう反論しようとムリだ。



・・・口喧嘩が強いわたしでも、まったく勝てない――



「い、いい加減にしてよ!

受付したいのよ!離してよっ!」


挫けそうな心を隠すように、本来の目的を早口で捲くし立てた。