まるで中世ヨーロッパに、タイムスリップしたような感覚だ。



あまりに、異次元な世界へとムリヤリ誘われたうえ。


その張本人の、ヘンタイの言葉にもダメージを受けて。


庶民で凡人の私には、理解なんか出来る訳ナイ――




「ほら、行くぞ?」


異次元にトリップさせられた中、またしても耳元で囁かれた。



少しは平常心が戻ったけど、ヘンタイは強引に私を引き寄せるから。



「ちょ…っ、近づかないで!」


抵抗しようとしても、密着する身体がソレを阻むし。



「その顔ソソるな…、クス…」


「るさいっ、ヘンタイッ…!」


またまた一笑した、セクハラなヘンタイのせいで。

鼓膜が震えてるうえに、バクバクと動く心臓も煩い…。



「ねぇ、巨乳ちゃん?」


味をしめたように、再びヘンタイが耳元で囁いて来た。



「…やめてよっ!

私には、未月っていう名前があるの…!」


「へー、未月…ねぇ」


クスッと笑いながらの物言いは、さすがに癇に障ったから。


無力な立場の私は、悔し紛れにヘンタイを睨みつけた。



もう、何なのよ――!