出来れば、この胸を隠したいのに・・・



だけど、深くV字に開かれたドレスではムリな話だ。


そして私のコンプレックスは、このGカップのバストで。


・・・だから、このドレスが一番イヤだったのに。



有奈が“見せなきゃ損!”と、私の反対を無視したのだ。





「もぉ…、ヤダ・・・」


「ん、何か言った?」


ワザと顔を近づけてきた挙句、また耳元で囁いてくるオトコ。



「いいえっ!!

放っておいて下さい!!」


こんな変態なんて、もう知らない!


その真っ黒な目と視線を合わせることなく、怒り任せに冷たく返した。




「クスッ…――」


なのに、またこの笑いをされて悔しい…!



歩けども広大な敷地のせいで、まだ建物まで距離があって。



行きたくもないバッキンガム宮殿へ、どんどん引き寄せられていく私。



いったい、どうなるのよぉおおお!?