耳元に響いた声の効力に、すっかり惑わされて。


私はなぜか、帰り道とは逆方向に連行されていた・・・




「ねぇ…、ちょっと…!

いい加減、離して貰えません!?」


何度となく、こう言って睨みつけているのに。



「ダーメ!そのまま帰るつもりだろ?」


そう返される度に、腰に回された腕の力が強まった。



「・・・っ」


余計に密着が強まるせいで、私にはドキドキ感が増すだけ。


イケメンの腕の力一点に、神経が集中しているみたい…。



恥ずかしさと悔しさ紛れに、唇を噛みしめていると・・・




「ほっせぇ腰だな?胸はデカイくせに」


不意に私の胸元に視線を落として、口角を上げて笑うオトコ。



「セクハラッ…!」


「誘惑には正直が一番、だろ?」


その言葉に反論出来るワケもなく、ただ変態を睨みつける私。



イケメンなんて、もぉ呼ばないわ…!