彼を“裏切る”事への罪悪感から、ポロポロと涙を零すなんて。



それほど、準さんを凄く愛せる彼女が羨ましい…。




「・・・分かった」


「え・・・？」


溜め息をついた私がポツリと呟くと、その顔を上げた有奈。


ようやく目が合った有奈の瞳は、真っ赤になっていて。



・・・助けたくなるじゃない。


やっぱりね、放っておけないじゃない。



「分かった、って言ったの！

有奈の身代わりには、絶対なれないけど。

会社の体裁くらい、取り繕えると思うし・・・

私でも出席すれば違うんでしょ？」


そんな気恥ずかしさを隠しつつ、捲し立てると。


ひとつ溜め息をつき、有奈にハンカチを手渡した。



「み…づき、いいの…？」


受け取ったハンカチで、メイクを気遣いながら涙を拭って。


微かに震える綺麗な声で、遠慮がちに尋ねられた。