有奈の顔立ちで、その表情をされるとね。


きっと、世の中の大抵の男を落とせるよ?



・・・女の私でもさ、抱き締めたくなる可愛さだし。



もう8年近く、付き合っているからこそ。


我が儘を言う性格じゃないと、分かってる。


だからこそ、可哀想になるしね…――



どうやら仕事中は、見事に親子関係を払拭しているそうだ。


柔らかい見た目とは違って、バリバリ仕事をこなしてる有奈。


仕事と分かっていながら、彼女がここまで命令を渋る理由。



ソレは3歳年上の彼、準(ジュン)さんの存在だ。


有奈が入社して知り合って、今もなおラブラブな2人。


付き合ってから1年以上経とうが、全く変わらない…。




「準に言えばね、答えは分かってるのよ。

でも、“行け”って…そう言われるのがイヤなの。

私も仕事なんだって、頭では分かってるけど・・・

でもね、彼を裏切るみたいでイヤなの」


落ち着いた雰囲気の準さんは、仕事だと割り切るように諭すだろう。


それを分かっているから、相談すら出来ない有奈。



だとしても・・・


たとえ仕事でも、絶対に行きたくない。


彼女が悩んだ末に出した結論は、コレだった。