『配達です。』

(配達?)

こんな時間に配達なんて
おかしくない?

「なんの、配達ですか?」

ゆっくりと目線を
あげると、配達員を名乗る人の手が視界に入る。



そして、
私は 配達員の顔を見る前に涙が滲んだのが
自分でもわかった。



配達員の来ているジャケットには、
今にも消えて水になりそうな雪が散らばっていたようだった。


雨?ミゾレ?
それとも、雪?
…涙でよく見えなくて

涙を急いで拭いながら…
「あの雪降ってるんですか?」

顔を見上げると、
黒髪の配達員に軽く積もった雪…

数時間も外にいたかのような赤ら顔した配達員は
確かに、私の記憶に昔からいる人だった…



「配達、遅いよ…」


『時間指定日が今日でして、すみませんね』





雪が溶けてしまうくらい
熱い、熱いKissをした。