逢いたい時に貴方はいない

店に戻ると
見覚えのある後ろ姿が見えた。


「秋山…さん?」

『おお、悪いな…急に来て。時間あるか?』
「う…うん。」


私の店、知ってたんだ……
少し顔がほころぶ。
でもすぐに彼女が目に浮かぶ。
(そっか啓子ちゃんがいるもんね…知ってて当たり前か…)


「店に入る?」


『どっちでもいいけど落ち着く場所ないかな……』
(”どっちでもいい”って…相変わらず、なんかムカツクわ)

それにしても、
落ち着く場所…

彼の落ち着く場所ってどこなんだろう…

他には聞かれたくない話でもあるのかな…


「うち、……くる?」
『え?』
(あ、私何言っちゃってるんだか!平気で男の人を家に誘ってるじゃん!)
「や…別に変な意味じゃなくて、なんか話あるのかな?って…」

(しどろもどろジャン!)
やだ…動揺なんかしちゃって余計におかしいじゃん。
落ち着け!私!


『いいのか?』


…へ?




「う、うん、」



あっさりと返事が返ってきたせいで余計に顔が熱くなり下を向くしかなかった…