「もっと、わがままでいいって言ったのに」
やっぱり、相手の気持ちが先にきちゃうんだね。
いつか、そんな拓真を全部包み込んでくれる人が現れて欲しい。
わがままに、なれる人。
私じゃ拓真を変えられないから。
先輩のように私を変えて、赤羽くんのように今も昔も全部包んでくれる人。
そんな人が、現れることを私は願う。
優しさに涙が出そうになるのをこらえて、私はまた走り出した。
拓真が、自分を抑えて応援してくれてる。
絶対に伝えなきゃ。
静かな廊下に私の足音だけが響く。
お願い、いて。
そう願い、赤羽くんの教室の前で私は足を止めた。

