愛おしそうに、
けどどこか切なげな瞳。


満開に咲いた桜。



見つめる少年の姿が1年前の私と重なった。



「綺麗に咲いてるでしょ」



気づいたら、話しかけていた。



その言葉に初めて自分以外の人がいたと知ったように私の方を向いた。



「私も、ここに来たとき一番にこの桜が目に入ったんだあ」



桜を見上げる。



『綺麗だろ』



先輩の笑顔。



先輩も大好きだった桜。



みんな、この桜を見上げてしまう。



『桜は別れと出会いを繋ぐ木なんだ。
だから、いつまでも別れの悲しみに浸ってんなよ』



あの言葉、今も私の心に根強く残る。



そうは言っても、まだ先輩のことを忘れられずにいます。