君との期待値


……拓真。



握らされてる手から全身へと暑さが広がっていく。



じわじわと胸の奥がもどかしい。



黙ったままの少年。



気づいてたんだね。



私は、その手をぎゅっと握り返した。



これは拓真の優しさだ。



いつも、なにも言わずに私を慰めてくれる。



ずっと……傍にいてくれる。



どうしてこんなに優しいひとが私から離れてしまったのだろう。



こんなにも優しい人に、私は何をしてしまったのだろう。



それさえも、思いつかない。



また泣きそうになり、唇を噛み締めた。



「……拓真のこと、わかんないよ」



声が、震える。



「バカな私じゃ、拓真が冷たくなったり優しくなったりする理由がわかんないよ」