君との期待値


だったら、言ってくれたらいいのに。



そしたら友達に戻ろうとかしつこいことしなかったのに。



そっか。
拓真は優しいからそんなこと言えなかったんだ。



だから遠まわしに……。



でも、
拓真の口からそれ聞いたら結構ショックかも。



冬の風が耳にぴりぴりと当たる。



マフラーに顔を埋めた。



寒さのせいか、どこか寂しい。



カサカサすれる音のする袋に過去を思い出し、
前の少年を見上げた。



前にもこんなことがあったっけ。



赤羽くんの壊したほうきをかいに2人で行ったんだっけ。



すごく、
昔のことみたい。



今思えば、あの日が拓真と素直に話せた最後の日だった気がする。



「前にも、こんなことあったよな」



突然、前を歩いていた拓真の足が止まり、私の方へ振り返った。