「袋、穴空いてる」



「え?」



拓真に声をかけられ、持っていた袋を持ち上げる。



袋には見事に穴があいており、
そこから摘んだばかりのひまわりの種が少しずつ下に落ちていた。



「あーあ。本当だ」



せっかく入れたのにまたやり直しだ。



がっくり肩を落とす私に不快な笑い声が聞こえた。



「ギャハハ。アホすぎる。言われる前に早く気づけよ」



園芸部のバケツに座りながらお腹を抱えて笑う後輩が1人。



赤羽夏弥(アカバネナツヤ)。



私の天敵であり、園芸部の後輩。



1年のくせしていっつも手伝わないで私のことを馬鹿にして遊んでる。