わたしは神妙な面持ちでトイレからでる。

「どうだった?」
わたしは妊娠検査薬を塔子ちゃんに渡した。

妊娠検査薬の結果は陽性だった。
つまり、妊娠したってことだ。

「父親はあいつ?泉翔馬ね」

赤ちゃんの父親が翔馬?
はたして、そうなのかな。
翔馬とは家族がイヤで家を飛び出して翔馬の家かけこんだ、あの一夜だけだ。

そして、翔馬とはケンカ別れした後、
あの不良の三人の男に襲われた。

父親が翔馬とはいいきれない。
あの三人の誰かの子かもしれない。
でも、翔馬の子供じゃないとも言いきれない。

「で、どうするの、陽菜、産むの?…おろすの?」
塔子ちゃんがわたしの顔をのぞきこむ。

「わからない」

本当にどうしたらいいかわからないんだもん。そう言うしかなかった。

「でも、大事なことだよ。真剣に考えて」

「私はおろすのがいいと思う。赤ちゃんはかわいそうだけど。
だって、まだ、高校生だよ。稼ぎもないし、父親もいないんじゃ、
子供なんて育てらないよ。きっと不幸になる」

塔子ちゃんがなにやらしゃべっているが私は聞いてなかった。
頭が真っ白で、呆然としてしまった。

塔子ちゃんはひとりでしゃべり続ける。

「…でも、私が口だすことじゃないから。」

「ひとりで決めちゃ、駄目だよ。陽菜のお母さんとお父さんにも話してから…」

「私の話、聞いてる?」
塔子ちゃんがわたしの両肩をつかんで、わたしの目をじっとみつめる。

「私は、陽菜の味方だからね。陽菜の選んだ道を応援するよ」

「とにかく、泉にも話つけなきゃ」

「えっ!?翔馬にも」

「だって、あいつの子しょ。あいつにも責任があるわ」

「あいつの連絡先しっているのよね?貸して」