『おかしい!!』
学校からの帰り道、俺は心の中で叫んだ!
やはり桜が綺麗に咲いていたが、今の俺には興味の無いことだった。

『朝あんな運命的な出会いをしたのに、なぜ俺は今一人なんだ?』

本当なら・・・

「ねえ、私この町のことあんまり知らないからさ・・・」

顔を少し赤くして、川瀬は言った。

「町を案内して・・・ほしいな」

俺は返事をする代わりに、軽く微笑んだ。
川瀬の顔はパァっと笑顔になった。

「あと、もし良かったら・・・」

川瀬は黙り込んでしまった。
俺は彼女の言葉を待った。

周りには、誰も居なかった。
ここは外なのか、それとも室内なのか?
しかしそんなことは関係ない。
俺と川瀬が居る。
その事実さえあれば、それだけでいい。
静寂な時が過ぎていく。

「良かったら、私と結婚して!!」

俺は、また微笑んだ。
そして彼女、いや妻になるであろう女性を抱きしめた。


・・・・・・・・・


・・・・・・普通こうなるよな。

いつの間にか、自宅の近所まで来ていた。
俺の家は、俺が思っているより学校から近いようだ。