よし今度生まれてくる時は、ウサギになろう。
そして、こんな気持ちのいい日は丸くなって寝ていよう。

そんな事を、台所で皿洗いしている母さんに話す。

「春休みは昨日まで!バカ言ってないで、早く朝ごはん食べて学校行きなさい」
子供の夢とは、大概親に反対される物だ。

「あんたも、今年で学生最後なんだからシッカリしなさいよ!」
「俺は大学に行くから、まだ最後じゃねぇよ」
「今の成績じゃ、『最後』になるでしょうが!」
これ以上はこっちが不利だと思い、
手に持っていたトーストを口に銜え、俺は学校に行くことにした。

「ふっへひはーふ!」

母さんが何か怒鳴っていたが、
無視して家を後にした。

・・・・・・一度食卓に戻った。
パン銜えて動くのって結構キツイ!
シッカリ噛んでから飲み込む。
牛乳も飲んでいこう
・・・・・・ゴクッ!ゴクッ
牛乳うめーー!うめーー牛乳!!

母さんは、呆れた顔をしてため息をついた。
『心配するなよ!俺は大丈夫だ』
一体何が大丈夫かは解らないが・・・

俺は今度こそ家を後にした。
ドアの向こう側は春のにおいがした。