空が茜色になる。
この後すぐに日は落ち夕闇がやってくる。
季節の移り変わりとは早いものだ。
俺は短い回想から帰ってきた。


「じゃあ、今日はこの辺にしときましょう!」
委員長の声で各々帰り支度をしだす。
俺たちの最後の文化祭まで約一週間。
「兵士B!!芝居に使う背景できたの!?」
委員長が気持ち悪い顔でニヤついていた俺に怒鳴ってきた。
ちなみに兵士Bとは文化祭のお芝居での俺の役名だ。

「背景?模造紙に森の絵を描いて舞台奥に貼るやつか?」
「そうよ!ちなみにあんたの担当は町の風景だけどね!!」
森ではなかったらしい。
ここで、まだ出来てないなんて言ったら怒鳴られるので、
「・・・あと色を塗るだけだよ」
これで怒鳴られずにすむはずだ。
本当は何も手を出してないけどな。
「色を塗るだけですって!?文化祭まであと九日しかないのよ!!」
怒鳴られる時は、なんと言い訳しようと怒鳴られるものだな。

「委員長、バックは背景よりもホリゾント使ってSE出したほうが雰囲気出ると思うけどな?」
我が悪友、横山が委員長に意見した。
いや、今は親友と呼ばせてもらおう。
もしかしたら背景描く仕事から解放されるかもしれないからな。
でもホリゾントったなんだ?
お笑い芸人のコンビ名か?
「ホリゾント壁なんて体育館にないでしょう!?」
負けるな!横山!!
「いやだから、ホリゾント壁はないけどホリゾント幕なら演劇部にあるから、幕を吊ってSS(サイドスポット)で色つければいいじゃないか?」
よく分からないが、いいぞ横山!!お前はやれば出来る子だと思っていた!!!
「うちの学校にそんなにスポットライトなんてないわよ」
挫けるな横山!!演劇部室にスポットライトぐらい多々あるだろう!?
「それもそうか。部のライトは今修理に出てるし・・・」
おい横山!!何か方法はあるだろう!?あきらめるんじゃない!!
「そんなことより横山君、演劇部副部長なんだから台詞ぐらい早く覚えてよね!!」

そして、委員長に言い包めれれた(?)横山は俺に軽く頭を下げて教室を後にした。
さようなら、悪友の横山・・・