気が付けば見渡す限りの木々の中にいた。
星も見えず、月明かりさえ届かない闇の中にいた。

助けを求めようにも人は居らず、きっとケイタイだって圏外だろう。
もっとも、机の上に置きっぱなしで、手元にも無いけど、連絡をとりたい相手は誰もいない。
優しいと思ってた祖父は私の事を会社経営のゲームのコマくらいにしか価値を見出さず、理想を絵に描いた婚約者は私に紙縁上の繋がりだけしか興味がない。
お父さんとお母さんが亡くなって以来頼りにし、支えになってくれただけにこの事実は悲しいくらいに私を孤独にした。