プリンセスゲーム

これ以上ヘビーな話は止めてくれと思えば

「この帰国を期に昭人様と高雄様がこのお屋敷にお戻りになられます」

「まぁ、小さな子供一人置いて仕事行くわけには行かないからね」

はいと頷いたあと

「昭人様にはお屋敷の正面入って左側にお住まいになられるということなので、お嬢様とはお会いする事はあまりないと思いますが、昭人様は今回の事業の失敗と離婚と言う経験に只今酷く荒れている模様で、ひょっとしたらお心ない言葉を仰られると思います。屋敷内とはいえ必ず私をお側において行動をお願いいたします」

「つまり、自暴自棄になってると?」

難しい顔をしたまま否定はしなかった。

「じゃあ、高雄君ってどういう子?」

この質問にも渋い顔をして、

「ベビーシッターに預けっ放しでわがままに育った模様です」

「ベビーギャングか・・・」

「真様は最後まで育児に興味を持たれなかったようで、躾をほとんどなさらなかったとか・・・」

「ベビーギャングにネグレクト。良い勝負だねー」

「育児は人を雇えば良い。という真様の生家の教育方針です。
ただ誤解してほしくは無いのですが、真様のお母様は華道に精通されアートフラワー界の第一人者にも当たる方で、このもっとうはご自身の仕事との両立の為のお言葉です」

「言葉の意味を履き違えちゃったんだ・・・」

仕事と遊びの間は果てしなく広いなと呆れて言えば、苦笑する飯田さんはポケットから懐中時計を取り出し

「さあ、そろそろ仕立て屋が来る頃です。お部屋はこちらにお通ししても?」

「そうね。叔父様が戻ってくるとなるとバタバタしてる所は見られたくないからこちらに来て頂きましょう」

よっこいせと気合を入れて立ち上がれば、ドレスを着替える為に衣装部屋へと戻った。