プリンセスゲーム

「興味をお持ちでないとは思いますが、橘は江戸の終わり、明治の動乱期に貿易商として立ち上げたのを成功した一族で、翠翔様の先代が事業を拡大するまでは細々とした趣味の延長のような経営だったと聞きます」

「おじ様のお父様と言う方はなかなかのやり手って事ね」

ワルツを刻みながらも、飯田さんの足を踏まない事に意識は集中する。

「いえ、やり手と言うなら翠翔様の方が上かと」

「おじ様が?」

砂糖菓子のようなふわっふわの笑みを浮かべた優雅な猫のように椅子にもたれる姿しか知らない私としては、とてもそんな人物のようには思えないが

「17歳の時には既に橘グループの代表として立たれていますが、表立って指揮を取るようになったのは大学卒業と同時なので22歳ですか?六年前になるのでこの業績は目を見張る物ですよ」