縄が手首に食い込む。 「でもっ!私は違う!!」 ギュスターヴはつぃと目をそらし、 「この状況で、お前を捕らえない理由がみつからん。」 私は部屋を見渡し、王子を守る人々が私をキツく睨む目が怖くて下を向いた。 牢屋に投げ込まれて、しんしんと体温が下がる感じがする。 ギュスターヴ達の足音が小さく消えていく。 格子の隙間から見える月は、狩り場よりも高度を上げて光っている。 湿った岩肌の壁に寄りかかり、見えると言ったら鉄格子と重い木製のドア。 この状況で、私の目を向けるべき物は月しか無かった。