座らせてくれた。
慣れない馬に乗って疲れた私はほっと一息をついた。

ギュスターヴは腰で体を折り、私の耳元で
「で、どこの馬の骨なんだ?
馬にも乗れない、お付きの人間もいない、一見さんよ。
王子に拐かされてこんな所まで来ちまって、周りをみろ。」
私は松明で明るいテントから
暗い外に目をやると狩りに参加するであろう男女が、
ひそひそと耳打ちしつつこちらを見ては、値踏みする様子。

周りのメイド達もなるべく遠くに居たいのか、遠巻きにチラチラと見るだけ。

「………。」
私は何も答えられずに俯いた。
まさか、馬なんかに乗らない
電気自動車エコ万歳な未来から
来たのよ、名前は忘れちゃった。とは言えない。

ギュスターヴは、あからさまにふぅとため息をついて

「どこで王子と知り合った?」