才女はただ地を這う

「構ってちゃんのおもりは委員長の仕事の埒外だと思うよー。詩織は一度痛い目見た方がいいって」


至極真っ当な優の言葉を、扉をピシャリと閉めることで遮る。


ま、委員長だからというのは単に私の度が過ぎる世話焼きに説得力を持たせるための建前に過ぎない。


別に私は完璧主義なA型でも、人一倍正義感が強い獅子座でもない。
今回も、たまたま私が黒坂詩織を気に入っていたから連れ戻そうと思ったまで。



さて、どうするか。

足音が消えていった方向から察するに、詩織は教室を出て右に向かったようだが・・・


「昇降口・・・か」


さすがにがっくり来た。校外に逃げられたら正直探しようがない。


私の1年2組の隣のクラス、1組は5限に体育を行うようで、昇降口には体操服姿の1組の男子がわらわらと集まっていた。

その後ろから、詩織の下足箱を覗く。


「……あれ?」


そこには地味な赤色の上履きではなく、綺麗に黒く光るローファーがちょこんと並んでいた。

一目で周りよりワンサイズかそれ以上小さいと分かる靴は、詩織がまだ校内にいる可能性が高いということを示していた。