才女はただ地を這う

「う、うん。聞いて。ねえ、聞いてトンちゃん」


「聞いてる聞いてる」


「でね、それで、優ちゃんがあんなこと言ったから思い出したんだけどね」









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「先週金曜日の夕方、飛行機公園で、ギターケースを背負った男に声を掛けられ、怖かったので無視して通り過ぎようとしたらマシンガンで撃たれた、と」


詩織はこくっと頷く。
彼女の説明はやはり途中で横道に逸れかけたが、その度に軌道を修正してあげながら根気強く聞き出した結果をまとめるとそういうことらしい。
飛行機公園とは、半司にある小さな公園の通称。敷地の中央にでんっと構える印象的な造形のジャングルジムがその名の由来だ。


……さて、どこから聞いていこうか。
詩織の言ってることが全て嘘だとは思わないが、全て本当だとも思えない。刑事か弁護士にでもなったような気分だ。友達の嘘を暴くのは、あまり気持ちの良いものではないが。