才女はただ地を這う

詩織が去った教室の中に、やれやれといった空気が流れる。


何人かの男子が先程の詩織の真似をして馬鹿笑いをし、それ以外は呆れて物も言えないというような顔をしている。



「はあぁ…」



私は大きな溜め息をついた。クラスメイトであり、親友の福山優が私の肩をぽんっと叩きながら言う。


「さすがの八木橙香様もお手上げですか」


「その口調やめて。こっちは真剣なんだから」


「…トンも大変だねえ。懐かれるとめんどくさいっしょ?」


「そんなことないよ。多分みんなに構ってもらいたいだけで…」


そこで自然とうつむく。


「今回のはちょっとだけ困っちゃったけど」


次の言葉を考えている内に、予鈴が鳴った。