才女はただ地を這う

予想通り思いっ切りくっついて暴れた。私がそうした力の数倍の強さできつく抱き締められ、胸に顔を押しつけてくる。


「ちょ……詩織マジで苦しい…ギブギブ」


詩織の顔を無理矢理引き剥がす。制服に何やら色んな汁がついたが、それが何であるかはあえて見ないようにした。


「トンぢゃんもやっぱりまだ信じてくれてないの?」


「……まず順を追って、落ち着いて説明してくれるかな。信じてないわけじゃないよ」


ティッシュで詩織の顔を拭いてやりながら、私は昼休みの出来事を思い出していた。








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『何つうかさ、トンって高校入ってノリ悪くなったよね』


優が購買での戦利品を見せつけるように机にどさっと置いた。うちの高校での購買横綱格はお好み焼きパン、通称おこぱん。見たところ、今日は残念ながら金星は挙げられなかったようだ。


『優みたいなフィジカルも闘争心も食欲も無いの。パンよりおにぎりの方が好きだし』


そう言ってコンビニの袋からおにぎりを取り出す。


『トンちゃんまたコンビニ?』


詩織が心配げに袋の中身を覗き込む。